植物の生きる知恵に感動!入笠山・フラワートレッキング
植物の生きる知恵に感動!入笠山・フラワートレッキング
登山の楽しみ方の一つに、普段は目にすることができない高山植物との出会いがありますね。過酷な環境下で咲き誇る花々は、可憐さの中に力強さも秘めています。
そんな高山植物を探しに、南アルプスの北端に位置する入笠山(にゅうかさやま)に行ってきました。ゴンドラで一気に標高1,780m地点まであがれば、1,995mの山頂までのコースタイムはおよそ1時間。無理なく楽しめるトレッキングコースです。
入笠山のお花畑
約15分間のゴンドラの旅を終えると....そこはまさに天空のお花畑!この時期しか見れない貴重な高山植物があちらにも、こちらにも!
印象的なエピソードを交えて自然解説をしてくれる山崎ガイドと歩いた、フラワートレッキングの様子をご紹介します。
入笠山ツアーのご紹介>>
https://www.yamakara.com/course/55/detail
植物について説明する山崎ガイド
「お花は好きなんだけれど、名前が全然覚えられないのよね〜。」
と、山崎ガイド手作りのガイドブックを不安げに眺める本日のお客様。
すると山崎ガイドは、
「名前はおぼえなくて大丈夫です!
大事なのは、興味をもつことです。最初はそれだけでいいんです。
自分であだ名をつけてもいいですね。」
とのこと。
その言葉にお客様もリラックスした表情になりました。
わくわくしながら入笠湿原へ
ゴンドラを降りて少し進むと、入笠湿原に出ます。
100万本の日本すずらんが自生し、6月にはこの山の斜面一面がすずらんの白い花でいっぱいになります。
ミツバチに人気のヤナギラン
この時期(8月下旬)は紫色のサワギキョウ、ピンクのヤナギランやハクサンフウロなど、色鮮やかな花々を楽しめます。
植物や昆虫の見た目の特徴だけではなく、「なぜそうなったのか」を関連づけて説明してくれる山崎ガイド。
なんでも知ってる山崎ガイド
例えば、「なぜ植物の実はなぜ、赤い実が多いのか」について、オオカメノキを例に教えてくれました。
そういえば考えたことなかったかも......。
赤い実をたくさんつけるオオカメノキ
虫は赤い色が色として見えないのですが、鳥は見えるのだそう。
つまり虫に「おいしそう!」と食べられてしまうより、移動範囲の広い鳥に食べてもらって遠くまで運んでもらいたい、という子孫繁栄のための知恵なんですね。
ヒヨドリソウとアサギマダラ
こちらはヒヨドリソウ。全草に毒があるそうです。
「ところがこの毒がある蜜をあえて好んで食べる昆虫がいるんですよ」と山崎ガイド。
それが人気の蝶・アサギマダラです。
アサギマダラは”渡り蝶”と言われており、なんと台湾まで移動するそう。そんな過酷な旅の途中で鳥にたべられないように、毒のある蜜を吸い、体に毒をためているのです。
なんという生への執念!感服です。
ここでは紹介しきれないほど、たくさんのお話を聞かせていただきました。
あちらこちらに高山植物があり、話がつきません
生きるための知恵、子孫を残すのだという断固たる意思に、見ているこちらもパワーをもらえます!
高山植物が大好きなお客様ばかりでしたので、お客様同士でも会話がはずみますが......
急な上り坂を黙々と登ります
頂上までの15分は突然急登になり、すっかり無言に。
ダケカンバの森の中に、あらい息遣いだけが響きます。
そして......その辛い登り坂の先に待っていたのは、
ついに山頂!
この晴天の山頂です!
あいにく富士山や八ヶ岳といった山々は雲の中でしたが、吸い込まれそうな青空にみなさん疲れが吹き飛んだようす。
アゲハチョウが舞い踊り、まるで皆さんを歓迎しているようでした。
下山時はお花よりも、足元に注目して進みます
山頂でお昼休憩をとった後、下山開始です。
帰りは約150種類の山野草が楽しめる山野公園に寄り、レンゲショウマやフシグロセンノウなど珍しい花々を思う存分撮影しました。
植物園へ
「子どもたちに見せたいの」
と、蝶の動画撮影に夢中になっているお客様も。
家族や友人に伝えたい思い出がたくさんできたようです。
山崎ガイドの自然解説にひきこまれ、あっという間の4時間でした。
整備された道で、初心者でも登りやすい入笠山
山頂までの登りは少し辛いですが、それ以外はとてもきれいに整備された道を歩くコースです。お子さんもたくさん登っていました。
危険箇所がないので、リラックスして高山植物の鑑賞ができることが入笠山の魅力です。
みなさんもぜひ、一度足を運んでみてくださいね。
(文:同行係員/ライター まつだしなこ)
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