『冬山の装備について』

お知らせ

2023年10月23日(月)

渡辺やすえ

『冬山の装備について』

夏よりも持っていくものが多くなかなか選び方が難しい雪山の装備。
雪山のシーズン(初冬・厳冬・残雪など)や山域(日本海側・太平洋側・北海道等)によっても装備は変わってきます。

今回はYamakaraの八ヶ岳雪山メインの2ツアー、「雪の硫黄岳」と「雪の天狗岳」ツアーにご参加される皆様に推奨装備をご紹介!
硫黄岳天狗岳は雪山をはじめてから、最初に山中の泊りで行く雪山の一つ。
ここから赤岳、さらには五竜岳や仙丈ヶ岳塩見岳等より難しい山を目指す方の始めの一歩ともなる山です。
装備に不安がある方、何を持っていけばいいのか分からない方も多いかと思います。
Yamakaraで、この2ツアーの雪山ガイドをしてくれている倉持ガイドにおすすめ雪山装備の選び方を聞いてきました!
ぜひ、ご参考にしてみてください。

①冬靴(レンタル可)

防水性・保温性のある雪山用の登山靴。 春夏秋用の靴は不可です。
また、寒さから身を守るためには血行を良くしないといけない
無料レンタルがあります。
購入時には締め付けがなく、春夏秋用の靴よりよりゆったりのサイズ選びをしてください。

②ヘルメット(レンタル可)

アイゼン歩行はひっかけによる転倒が危険です。落氷や滑落の危険を避けるためにも欠かせません。基本的にアイゼンを履く時はヘルメットを装着しましょう。

③12本爪アイゼン(レンタル可)

雪、氷、岩、凍った登山道の歩行に使います。
ワンタッチアイゼン(前後を金具とレバーで固定する方式)と、セミワンタッチアイゼン(後ろのみレバーで固定する方式)、紐締めのものがあります。
初めてアイゼンを装着する人、シーズン初めの人は山で実際に使用する前に事前にサイズや付け方を練習しておきましょう。
靴に合わせて選びましょう。
アイスクライミング以外では、平たい前爪のアイゼンを選びます。
Yamakaraのレンタルは紐締めタイプのものになります。これはどの靴にも合わせやすいものになっているからです。

④冬用レインウェア上下(レンタル可)

防風防滴のためにレインウェアを着ます。
購入する場合は汗抜きができる様に脇の下が開くなどの機能があるとよいです。
冬用レインウェアというと、生地が厚くて暖かいもの、と想像される方も多いのですが、歩行時と休憩時の温度差が激しい登山では、防寒は重ね着により対応します。こちらは防寒着ではなく、雨にも雪にも対応できる強い素材で、外からの寒さを防ぎ、運動時の熱を逃がすような機能が充実しているもの、というのが特徴です。
Yamakaraではゴアテックスの雨具を貸し出しています。

⑤冬用手袋(レンタル可)

冬季の登山手袋には「締め付けない」「保温性が高い」「汗抜けがよい」の機能が求められます。初めての人は、レンタルを使ってみるのもよいと思います。

倉持ガイドがおすすめするのは、ウール手袋の重ね着(インナーと厚手のウール)です。
外側に雪が着いてもほとんど中まで濡れません。
たくさん着いたら払えば雪はとれます。
オーバーサイズで締め付けないことが、選ぶときのポイントです。
この上にオーバー手袋を重ねるとさらにいろんな状況に対応できます。まきぽかと言ったホッカイロを手首にまくような商品もあります。
この辺りは、人によっても寒さの感じ方が違うので、自分の寒さ感覚に合わせた対策ができるようになることでステップアップすることができます。


ウール手袋インナー
https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1118628
インナー手袋は屋外では絶対に外してはいけません。一度冷え切った指は血行が戻るのに時間がかかります。
スマホなどを触りたい場合は、タッチペンを使いましょう。カメラはスマホで代用するより、物理ボタンのついたカメラの使用を強くおすすめします。

⑥予備手袋

雪山に予備手袋は必須です。予想よりも寒かった時、濡れてしまった時、飛ばされてしまった時、様々な状況に対応することができなければ、行動不能になり命に直結します。
予備手袋には防寒テムレス、防風を求めるにはオーバーミトン(冬用防寒グローブ)がおすすめです。
テムレスは新宿店でも販売しています。
オーバーミトンはレンタルがあります。
インナーを外すことはありませんが、濡れることはありますので、インナー、厚手ウールの替え手袋も持っておきましょう。

⑦ピッケル(レンタルあり)

雪山歩行の技術として「12本爪アイゼン」「ピッケル」はセットとなるケースが多いです。
ピッケルを持つことで、雪山ならではの装備に気持ちもひきしまるでしょう。ただし、ピッケルは使いこなせるように経験を積んでいきましょう。
縦走での推奨サイズは、ヘッドをもったときに先端が地面につく長です。お店で推奨されるものよりは少し長めになります。
最初は軽いものや握りやすいものを選びましょう。


倉持ガイドおすすめ
BlackDiamond(https://www.lostarrow.co.jp/store/g/gBD31046055/
シャフトとヘッドのつなぎ部分がくびれているため手の小さい女性でも握りやすいです。

⑧チェーンアイゼン(レンタル可)

初冬や残雪で岩が出ているような雪山や凍結している林道などでは、12本爪アイゼンは不向きなため、チェーンアイゼンを使います。12本爪アイゼンはチェーンスパイクの上位互換ではありません。きちんと使い分けられるようになりましょう。
冬靴のサイズにチェーンアイゼンを合わせる為、必ず事前に靴に装着できるかを確認してください。

⑨サングラス(レンタル可)

雪目防止のために使います。晴れている時用のサングラスと吹雪等に使うゴーグルは両方必要です。紫外線をカットするもの、色の濃いものがおすすめです。

⑩ゴーグル(レンタルあり)

風が強い場合は、サングラスではなくゴーグルが必要。サングラスを紛失した場合の予備にも使える。

⑪ヘッドライト(レンタルあり)

夜明け前や山小屋内の行動といったシーンで使います。日が短い雪山登山では、日の出前に出発することも多くあります。
雪山のみならず、低山でも登山には必須の装備です。
どんな登山でも必ず携帯しましょう。

⑫防寒着(レンタルあり)

風が強いなど寒いときには、フリース素材やダウンの上着を使います。
ダウンはレインウェアの上から羽織ることがあるため、大きめのサイズがいいです。

さらに、 この他にあると便利なもの、お勧めのものを紹介します。

⑬網シャツ(ベースレイヤー)

網シャツは発汗による冷えを防ぐドライレイヤーです。
素材はウールが混ざっているものがお勧めです
肘から下はあまり汗をかかないので、長袖タイプのものでなくとも問題ありません。
やまどうぐレンタル屋ではミレーのドライナミックの販売があります。

ドライナミック
https://www.millet.jp/drynamic/

⑭ネックゲイター
首や顔を覆い、寒さを防ぐものです。目出帽でも良いです。
薄い生地でウールのものがおすすめです。
分厚いと不必要に汗をかいてしまいます。
雪山では目出帽のように顔全体を覆って使用することが多くなります。着脱のしやすさ、想定される様々なシーンへの対応性を考えると目出帽よりもネックゲイターの方を倉持ガイドはおすすめしています。

https://zett.jp/buff/buffproducts/products-detail/440563

⑮日焼け止め

雪面からの照り返しにより晴れの日はもちろん、曇りの日でも日焼けをします。酷い場合は火傷のように寝られないほど焼けてしまうこともあります。日焼け止めやリップクリームがあると便利です。

⑯保温ボトル

外気温が低いときは体の内側から温めることが非常に効果的です。
人により飲む量が違いますが、重さもあるので、500㎖程度のものがおすすめです。
各メーカーで山専用の軽い保温ボトルが販売されています。
新宿店でも販売がございます。

Yamakaraのツアーではレンタルが無料でついてきます。
雪山を始めたい方、雪山をやってみたいけど装備をそろえるのが少し大変だと思っている方にお勧めです。
https://www.yamakara.com/top/courses

倉持ガイドProfile

登山、クライミング、スキーなど、身体を動かすことが好きです。 CONE、RACで環境教育や自然体験活動を行っています。 西丹沢ビジターセンター勤務、第60次南極地域観測隊(越冬隊)を経て、現在は登山ガイドなど山に関わる仕事をしています。

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